TECHNOLOGY

エクソソームとは?

  • 単細胞生物から高等生物までの生体を構成する細胞から分泌される直径30~200nmほどの脂質二重膜に包まれた顆粒。
  • ヒトでは血液や尿のほか、母乳、唾液、涙などのあらゆる体液中に含まれている。
  • 2007年にLotvallらがその内部にマイクロRNAと呼ばれる核酸が含まれることを発見
  • 2010年に国立がん研究センターの小阪らがそのマイクロRNAがエクソソームを受け取った細胞の中に取り込まれて機能することを明らかにした。
  • がん細胞など、病態組織から分泌されるエクソソームは疾患関連分子を包含しているので、創薬や診断薬のターゲットとなる。

エクソソームを介した細胞間のクロストーク

A. エクソソームの構造: 小胞の膜はリン脂質二重膜からなり、テトラスパニンなどのタンパク質が存在する。内包物にはタンパク質、核酸(mRNA,miRNA)が含まれる。「田所弘子、In 落合孝弘・吉岡佑亮編 医療を変えるエクソソーム ー 生体機能から疾患メカニズム、臨床応用まで ー 化学同人2018; p8,図2.1」より改変(著作権者の承諾を得て、改変・転載)

B. 位相差電子顕微鏡によるエクソソームの形態観察。脂肪由来間葉系幹細胞が分泌したエクソソームを超遠心法にて回収後、位相差電子顕微鏡で観察した。スケールバー: 100nm(吉岡佑亮氏提供)

エクソスクリーン -簡便、高感度なエクソソーム定量法-

エクソスクリーンとは、原理的にはAlphaLISA(パーキンエルマー社製)と呼ばれる測定系をエクソソーム測定に応用したものです。この系では680nmの励起光により飛び出す一重項酸素の最大飛距離が200nmで、それがエクソソームの最大直径にほぼ一致することを利用しています。 エクソスクリーンでは、まずすべてのエクソソームの表面に存在する抗原であるCD9などに対する抗体をアクセプター・ビーズに結合させます。 さらに、がん細胞が分泌するエクソソームの表面に存在すると考えられるがん特異抗原に対する抗体をビオチン化修飾し、ストレプトアビジンが結合したドナー・ビーズに結合させます。 こうして、CD9とがん特異抗原の双方を表面に持っているエクソソームにこれら2種のビーズが近付いた際に発せられる光を検出することにより、がんに由来するエクソソームを定量することができます。 エクソスクリーンでは、ビーズを含む反応液に血液検体を添加するだけで測定が可能ですので、一般的な測定法であるELISA法に比べて検査は極めて簡便です。 表にエクソソーム測定におけるエクソスクリーン法とELISA法の性能比較を示します。 このように、エクソスクリーン法はELISA法に比べ明らかに優れた性能を有しています。 当社はエクソスクリーン法を特許出願(国際公開番号:WO2013/094307 A1)すると同時に、「エクソスクリーン」の商標登録も行っています。

エクソスクリーンの原理

大腸がん患者由来の血清と健常人由来の血清をエクソスクリーン法で測定

大腸がん患者由来の血清(194例)と健常人由来の血清(191例)のCD9 とCD147を発現しているエクソソ一厶由来のシグナルを測定した結果、従来の血液検査(腫瘍マーカーCEAやCA19-9)と比較して、エクソスクリーン法は診断能を評価する指標であるAUCが高い。 (従来法のAUCは約0.65。エクソスクリーン法のAUCは0.82。) 従来の血液検査では見つけることが出来なかった早期がんの検出が可能であると考えられる。 *診断能評価の指標の1つであるarea under the curve(AUC)の数値が高い方がより診断能が高いとみなされる。

血清中のCD147/CD9

手術前と手術後のシグナル強度の変化

Stage IとII の大腸がん切除術を受けた15名の患者由来の血清を用いて、手術前と手術後のCD9とCD147を発現しているエクソソ一厶由来のシグナルの変化を調べた。 CD9とCD147を発現しているエクソソ一厶由来のシグナルを用いた検査は、手術後や薬物投与後の追跡検査としても優れていることがわかった。

手術前と手術後のシグナル強度の変化